第2回 古瀬 敏 氏

Last updated 2009-06-04

Universal Design Network Japan

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現場からの便り

第2回 古瀬 敏 氏

kose.gif 建設省建築研究所 古瀬 敏 氏
第2回目の現場からの手紙には建築研究所でユニバーサルデザインを推進しておられる古瀬 敏氏にメールインタビューをさせていただきました。
【略歴】
1948年生。東京大学工学部建築学科卒 建設省建築研究所 第一研究部長。6月に開催された第2回ユニバーサルデザイン国際会議にて、第1回ロン・メイス賞を受賞。住宅や建築分野に限らずバリアフリー、ユニバーサルデザインの分野では第1人者の一人です。
日本でユニバーサルデザインを勉強すると、必ず古瀬氏の名前を目にすることになるほど著書も多数です。

[UDNJ] UDの研究をはじめられたきっかけは?
[古瀬氏] 私の研究の原点は「ユーザー」、それも「ユーザーとしての自分自身」です。安全と 使い勝手がその際にはもっとも重要ですね。自分にとって良くないものはダメ、自分にとっ ていいけれどほかの人にとってはダメ、をできるだけなくそうと、とことん追求するのがUDです。
私にとってダメ、をいう立場はたいていの人が持っていると思いますが、でもふだんはみんなあまり声高に主張しない・・・・。
古瀬敏個人についていえば、左利き、背が高い(団塊の世代で178cm)ー>この結果がぎっくり腰、極度の近視(-11ジオプトリー、0.02くらい)ー>メガネを外しては風呂に入れない・・・・
これらの条件で「ノー」なものはやっぱり困るのです。

[UDNJ] 第1回ロン・メイス賞のご感想は
[古瀬氏] 努力(ほとんど孤軍奮闘)を認めていただいてありがたい、というのが第一印象。

[UDNJ] UD研究でとてもうれしい出会いの経験は
[古瀬氏] ロン・メイス氏に会って意気投合したことかな。

[UDNJ] これからの日本のUDの発展はどう進んでいくのか大胆予測 [古瀬氏] 悪戦苦闘するのではないかしら? 自分にとって問題だという意識がまだ希薄だから。 それがないと、長い目で見てUDのほうがいい、という確固たる信念ができませんね。

[UDNJ] ここでいう「自分」とは一般のUDを知らない人たちのことですか?
[古瀬氏] それぞれの個人のことです。

[UDNJ] そういう人たちが自分の問題となってくるとき(何らかの障害をもったり、年をとったり)にはバリアフリーという概念のほうが、機能が特化されていて便利というニーズになってしまうのではないでしょうか?
[古瀬氏] 今やっておかないと、後でほぞをかむのですが、今は当事者ということが身体で理解できないだろうと言うことです。それはバリアフリーという言葉を使われたらもっと自分より遠い話になります。
バリアフリーというのは、やっぱり最後は(個別対応の)特殊解になりますが、その 前にユニバーサルデザインができていないと目も当てられなくなります。

[UDNJ] おすすめ文献、ウェブサイトなどはありますか
[古瀬氏] 手前味噌ですが、やっぱり私が書いた「バリアフリーの時代」(都市文化社)はまず 読んでいただきたい。そこで取り上げていることについて議論するところから始めま しょうよ。寝転がって読めるほどやさしくないのが申し訳ないのですが。(なお、階 段手すり、それからエレベータドアの方向制限については、ごく最近規制内容が、よ うやくあるべき姿に変わりました)
もう少しやさしいのは「ユニバーサルデザインとはなにか」(都市文化社)、そしてニューヨークでのUD国際会議の基調講演集「デザインの未来」(都市文化社)。

[UDNJ] 今後の活動予定、またやってみたいことなどは?
[古瀬氏] ほんとうは、具体的なものの開発に関与してみたい。

[UDNJ] 街や建物のUDで私たちにもできる簡単チェックポイントなどがあったら教えてください。
[古瀬氏] 歳をとったらどうなるだろうか、と想像して下さい。それがまず出発点。スキーでギプスを余儀なくされたら、メガネを壊したら、両手に大きな荷物を持っていたら、あるいは妊娠していたら、というのも比較的に想像しやすいのではないかしら?

[UDNJ] お忙しいところどうもありがとうございました。